2012年6月12日火曜日

陽の当たる部屋で



おばあちゃんと毎日歩いた幼稚園からの帰り道。
歩道の植木を
「チャーハンみたいだねぇ」
と言いながら歩いてたのをよく憶えている。
でも今見るとブロッコリーだと思う。
痩せてしまっただけかな。
木が?感性が?















忙しくておばあちゃんの命日にも顔を出せなかったので
少し空いた時間で父方のおじいちゃんの家へ。
わたしは幼稚園に通う三年間ここで暮らしていた。
古ぼけたなぁ、と
玄関のドアを写そうとまごまごしていたら
「何やってるんだい、早く入っておいでよぅ」
と言ってるおじいちゃんがガラスにぼんやり透けている。

広いリビングには沢山の陽。
このリビングのレイアウトは25年ぐらい変わっていない。
でもおじいちゃんの定位置が変わった。
おばあちゃんがいつも座っていた長いソファに。

わたしは本当に小さいとき
ニヤニヤしながら部屋の隅かソファに隠れてうんちをする子だったらしい。
(もちろんおむつを履いてるけど)
そしてもっと酷いのが
口に牛乳を含んで
ビロードのソファの裏側に口を押し付けて「むあ」と開く悪戯。
それを繰り返して「雲!」と言うわたしを見て
おばあちゃんは泣いていた。

(´△`)

その雲はまだソファの裏側にプカプカ浮いている。
・・・・・・
ぎ、牛乳に相談だ!



部屋に飾られたおばあちゃんの写真はどれもカツラみたい。
でも全部地毛。
よく縁側でたまに生える白髪を抜いてあげたけれど
死ぬまでおばあちゃんの髪は黒々していてツヤツヤだった。






夏休みはいつもこの出窓でウルスラのように絵を描いていた。
(実写版があったらウルスラ役は山口智子だと思う)
昔はソテツみたいな南国っぽい木がいっぱいあったのに
今はなんだか淋しい景色。






大人になったらこの二階の渡り廊下からシャンデリアに飛び移って
ターザンするんだって夢想していた。
はっきり言って大人になってからの方が現実的じゃない。
それよりも
親戚の子達が遊びに来ると
階段に布団を敷きつめて一番上から転げ落ちるという遊びを
延々と繰り返していた事の方がすごい。
今やってもアレを楽しいと思えるのだろうか。




「よぉ!遺影をあいふぉんで撮ってくれよぉ!」
と老人が大好きなギャグをかますおじいちゃん。
撮りましたよ。
満足しましたか?
後ろに写る父の方がよっぽど晩年ぽい。








家や人は古ぼけるけれど
この家での記憶は死ぬまでずっと鮮やかに残ると思う。