2012年5月20日日曜日

すぎなみに憧れて




東北に帰省するついでに東京行くわ!
とつんさまが京都から会いにきてくれた。
仕事が終わらずに家で作業しながら彼女を待っていると
差し入れのカレーを持ったインド人みたいなターバン女が入ってきた。
つんさまだ。
「左京区ではこんなんいっぱいおるから気にせえへんで〜」
と毅然とした態度をとっている彼女だが
何故カレーを選んだかという理由を
聞いてもいないのに一生懸命ずっと喋っていた。
どの店もやってなくてカレー屋しかなくて仕方なかったと。
とりあえず狙ったわけではないということだけ
ハッキリさせたかったらしい。
でもターバンもカレーもつんさまが話さなければ気づかなかった。
その時わたしはカラー原稿の解像度を間違えたことで
頭がいっぱいだったから・・・!


仕事が片付いたので手紙舎に散歩がてらお茶しに行って
夜はのらぼうにご飯を食べに西荻へ向った。
西荻を歩いているとつんさまはずっと興奮していた。
「西荻めっちゃいいなぁ!絶対西荻や!西荻夫婦になる!」
つんさまはもうすぐ旦那様のお仕事の都合で
京都と東京の二重生活を始める。
東京のおうちを西荻にしたいらしい。
そんなつんさまを見ていたら
どこかに憧れて引っ越すというのはいいなぁと思った。
わたしもそろそろ引っ越そうと考えているので
どこに住みたいのか真剣に考えていかなきゃ。


気がつけば今住んでいる街にきて
8年経とうとしている。
その頃一緒に暮らしていた恋人から逃げるように
何の憧れも持たず移り住んだ街だったけど
意外と自分に合っていたようです。
8年の間、この街で沢山作品を描いた。
最初アシスタントさんには
ちゃぶ台で作業してもらっていて
高さが足りないからちゃぶ台のアシの下に
三島由紀夫や夏目漱石や太宰治や川端康成などの
文庫本を沢山敷いて調整していた。
「こんなに偉大な文豪達をちゃぶ台の下に敷くなんて
ちひろさんは大物になりそうだね」
と、これもつんさまに言われたことだけど
8年経っても小物です。
でも小物とは言え今の家では少し手狭になってきた。
次はもう少し広い部屋にしよう。
そして今度は住んでみたい街にしよう。


つんさまと駅から新宿を眺める。
都会に近いのに地味な街なの。